番外編!新春第一弾はこれだぁ~!ボワ・ルカのソーヴィニヨン・ブランです!

いつもお世話になります。例によって入荷の限られたワインですので、またまた早い者勝ち販売になってしまい申し訳ありません(2013年1月10日配信)。

新春第一弾にふさわしいワインが入荷しました!

当店ではボジョレー・ヌーボーで知られる新井順子女史・・・久しぶりに彼女自身のブランド、ドメーヌ・デ・ボワ・ルカが入荷しました・・・

《 DOMAINE DES BOIS LUCAS ボワ・ルカ 》

一昨年5月ホームページのリニューアルの際、彼女のページを残せなかったので、改めて簡単にお話させていただきます・・・

フランスの超一流醸造家が彼女の造ったワインに驚きの声を上げ、ワインの本場フランスの人々から最も注目を浴びた日本人女性醸造家、新井順子女史。

実は私は新井さんとは古くからのお知り合いで・・・

私と新井さんが出会ったのは1992年。私が1年半のアカデミー・デュ・ヴァンの後に通った日本ワインアカデミーというワイン学校でお会いしました。当時すでにワイン・サロンを経営していた彼女が何故ワイン学校に通っていたのかちょっと不思議な感じでしたが(笑)。やはり彼女のテイスティング能力はずばぬけて、飛び抜けていました。

現在日本のトップ・ソムリエである、た〇き氏、し〇や氏、さ〇う氏、ま〇やま氏とも(別に名前隠す必要ないですね・・・笑)すでに彼女はお付き合いがあり、こんな凄い方達とも一緒にワインを勉強されていました。

それでも物足りなかったのか、1996年新井さんはボルドー大学醸造学部に留学するためフランスへ旅立ちました。ここでも新井さんのテイスティング能力はトップだったようです。その後ボルドーからプロヴァンスにお引越し。この時期にフランス各地を廻り、たくさんの醸造家と出会い、たくさんの素晴らしいワインに出会ったようです。

1998年に帰国。自由が丘にレストラン「メゾン・ド・オドゥール」をオープンさせました。お料理とワインのマリアージュをきちんと意識した素晴らしいお店でした。セラーにはアンリ・ジャイエをはじめ凄いワインがありました。そして、なぜかオパス・ワンがめちゃくちゃ安かったのです(これはカリフォルニア事情にちょっとうとい彼女が単に価格を間違えたからですが・・・笑)。また、フランス留学中に出会ったワインを日本に紹介するためにバイヤーとしての活動を始めました。

そして転機が訪れます・・・

2001年2月ロワール地方トゥーレーヌのドメーヌ・クロ・ロッシュ・ブランシュが畑を売りに出しました。この話は当主カトリーヌ女史とすでに親交のあった新井さんの耳にも当然入りました。“自分でワインを造る”ことが夢だった新井さんはすぐにフランスへ飛び立ちましたが、一足先に畑の購入を名乗り出た者がいました。

縁がなかったとあきらめた新井さんでしたが、8月に一通のファックスが届きました。「あの畑にまだ興味がありますか?」という内容でした。一足先に購入を名乗り出た方がキャンセルしたのでした。畑を購入することができた新井さんはレストランを売却し、再びフランスへ旅立ちました。2001年9月です。

ロワール地方の大都市トゥールの東、マルイユ・シュル・シェールという小さな村にあるドメーヌ・クロ・ロッシュ・ブランシュはすでにビオデナミ生産者として有名でした。当主カトリーヌ女史の祖父の時代から無農薬栽培を続けていましたが、残念ながら後継者がなく、畑の3分の1を売りに出したのでした。

畑は6haにガメイ(当時樹齢13~15年)、カベルネ・フラン(当時樹齢30年)、そしてソーヴィニヨン・ブラン(当時樹齢60年)が植えられています。本当にいろいろな苦労があったようですが、2002年ヴィンテージが新井さんの初めてのワインになりました。名前は「ドメーヌ・デ・ボワ・ルカ」。畑に隣接する森が“ルカの森(ボワ)”と呼ばれていたことからこう名付けました。

農法はもちろんビオデナミです。しかし新井さんはガチガチのビオデナミ信者ではなかったのです。「この方法が正しいかどうか、実際に自分の手で実践してみたかったのです。なにかと神がかった印象がありますが、本当はいたってシンプルです。基本はもちろん無農薬。これは当の然と言っても過言ではありません。それに月の満ち干の大きな力を利用するだけ。こんなに大きなパワーを利用しない手はないですよね。それもただですよ。」と当時語っていました。

初代の醸造長はパスカル・ポーテ。コンサルタントは自然派ワイン界の鬼才と言われるティエリ・ピュズラでした。初ヴィンテージの2002年ボワ・ルカはフランスの一流評論誌から非常に高い評価を受けました。そして新井さんが一番嬉しかったのは、あのフィリップ・パカレからお褒めの言葉を頂戴したこととのことです。

(フィリップ・パカレは、ビオデナミ栽培でボジョレー人気を復活させたマルセル・ラピエールの甥っ子で、プリューレ・ロックで10年間醸造長を務め、ロマネコンティからの醸造長の誘いを断って独立した、今やビオデナミ界の第一人者です。)

フィリップ・パカレは親友のティエリ・ピュズラを訪ね、「お前んとこの近くに、凄いソーヴィニヨン・ブランを造った日本人の女性がいるぞ!」と話したといいます。ボワ・ルカのコンサルタントをしていたティエリ・ピュズラはこれを聞いて大笑いしたとのことです。「君はボワ・ルカを飲んだか?」というセリフが、当時フランスのワイン業界の挨拶文句になりました。

順子ちゃんからまたまた長いご挨拶(笑えない)が届いております・・・(ちなみに私は彼女のことを「順子ちゃん」と呼んでおります・・・笑)

「右も左も判らないまま2002年に始めたワイナリーもお蔭様で今年11年目を迎えました。時が経つのは早いものです。40代で始め、いつの間にか50代に突入です。

立ち上げ当時からいろんなことが変わりました。2002年~07年迄はワイン農法はバイオダイナミックを実践しました。 この方法が正しいどうか、実際に自分の手で実践してみたかったのです。バイオダイナミックをどこまでマニアックに取り入れるかそれぞれの栽培家の判断によって違います。私は基本は無農薬、それに月の満ち干の大きな力を利用するだけ、ビオデナミも Michel Auge 氏らと行っていました。

しかし2008年から実は時間の関係と他の諸事情からビオデナミをやめました。もっと違う自然界の波道の方が有効に感じ始めたからと時間的な観点からです。ですから2008年からはただの無農薬農法となります。バイオダイナミックを正式に行っていたのは、2007年のヴィンテージが最後になります。そして白の新酒をリリースした2010年からはボルドー液散布を一切やめました。これも時間の関係です。そして畑の耕し方もアルザスの Patrick Meyer 氏と同じ方法に切り替えました。あまり深く掘りすぎず、表面をトリートメントするのです(表面だけを均していくこと)。

ワイン作りは、やればやるほど解らなくなります。そして毎年毎年違います。決して同じヴィンテージはありません。実際に自分がやってみて実感します。だから毎年味わいが変わるのは当然なのかもしれません。そして仮に天候・自然環境が同じだとしても(こんなこと絶対にないのですが)作っている本人も毎年1年づつ経験を重ねるので違います。だからどう考えても同じ状況下のワインは存在しません。温暖化も若干関係するするかもしれませんね。去年の2012年は2002年当時とは考えられない位、環境が変わっております。10年ちょっとで感じるのですから、何十年も醸造をなさっていらっしゃる大先輩はもっと実感なさっていることでしょう。

さて、2009年は今迄私が醸造した中では納得のいく出来栄えとなりました。2008年の時は最高の出来栄えと言いましたが、結果から言うと2008年より個人的に好きな年で、自分で納得したヴィンテージ、自分なりの方法でワインを表現できたヴィンテージとなったのです。そして実は2010年に畑の一部分を売ってしまったので2002年から始め、同じ状態での醸造はこの2009年が最後になるのです。2008年ワインをリリースした時にも言いましたが、2008年からワイン作りが自由になりました。初代醸造を手伝ってくれたパスカルも、2007年迄一緒に働いたノエルも今は独立しております。そして私が全く1人でワイン作りを仕切り始めたのが2008年から、それ以降今迄のしがらみや常識にとらわれることがなくなり、ワイン作りがもっともっと楽しくなったのです。が、あまりに忙しいので2010年に一部の畑を売却せざるを得なくなったのですが・・・。

そして2008年と同様、納得する迄フランスの Chai で寝かせ出荷するようになりました。日本に運べば倉庫代金等々お金はかかります。が、フランスならただです。従業員もいなくなったので資金繰りも少し余裕が出来たので、それが可能になりました。なので今、この2013年の4年経た時に2009年のリリースです。遅いですよね(笑)。

が、お待たせした分、自信があります。特に初めて作った Gamay No.3 は今迄の常識を無視しての醸造です。このワインはむしろフランス人に飲んでもらいたいです。が、全て日本に持ってきたので無理ですが(笑)・・・。2010年に売ってしまった畑の中にカベルネ・フランがあります。ですから今回のリリースが最後のカベルネ・フランとなります。1996年にボルドー大学で学んだ、ボルドー品種だけに寂しい思いもありますが、今後のことを考えての決断でした。人生は一度だけ、そして1日24時間しかありません。夢を確実に実現するためには多少の整理整頓をしなくてはなりませんでした。が、その分の時間、実は去年から某AOCでもワイン作りを始めました。それはまた、別の機会で発表させて頂きます。

そういう思いで作った2009年、たくさんの方に飲んで頂けましたら、醸造家としてこれ以上の幸せはございません。是非召し上がって下さいますようお願い申し上げます。(新井順子)」

長くなりまして申し訳ありません・・・彼女のワインはどれも素晴らしいのですが、今回のご紹介は個人的に大好きな彼女のソーヴィニヨン・ブランです・・・

Domaine des Bois Lucas Touraine Sauvignon Blanc
★ボワ・ルカ トゥーレーヌ ソーヴィニヨン・ブラン 2009 ¥4,515

こちらも順子ちゃんのコメントで・・・

「私が一番大好きな畑、1947年に植えた2,46haのソーヴィニヨン・ブラン。しっかりと大地に根を張った葡萄は苔も樹に付いてしまう程の風格です。

2009年はどこも収穫が早かった年でした。白は9月23日に行いました。ボワ・ルカの白ワイン作りは至って簡単です。丁寧に収穫し、プレスし、樽で発酵熟成するだけです。シンプルなだけに実は醸造家の個性が出やすいのです。スパゲッティーペペロンチーノを作るようなものです。パスタとニンニク、鷹の爪だけでしょうか、たったこれだけだけど料理人によって味はまちまちです。うちのワイナリーは収穫とプレスに拘っているのです。

2008年は天然アルコール度数が14,15度でしたが、2009年は14,42度、絞りは出来るだけゆっくりゆっくり圧を弱く絞るのです。SO2を使用しないので4時間もかけたくないのですが、どうしてもその位かかってしまいます。昔のボワ・ルカの白に比べ色が若干酸化かかって見えるのはそのためです。味に酸化のニュアンスはありません。

一番のポイントは、500Lのロワールの大御所ブランシャール氏の新樽で発酵させることです。2006年に Special Cuvee がその理論で誕生しましたが、2007年にはミレジム的に不可能、2008年以降は全てこの方法を取り、2つの Cuvee に分けませんでした。全てがスペシャル・キュヴェと同じポテンシャルです。

グラスに注ぐと、ボワ・ルカの白ワインの香り、この一言です。色は濃厚、フィルター無しが一目瞭然、ボリューム感溢れる桜桃や蜜、パイナップルと次から次へと濃厚な香りが漂います。まさにテロワール、ソーヴィニヨンの香りであり、キャサリンのお爺様の努力の結晶です。重いパンチが残り、アフターは非常に長く、バターやナッツのような余韻すら感じます。考えてみると4年経過しておりますが、まだまだ寝かせたいワインです。」

これまでの集大成とも言える納得の出来栄え!と彼女が自信を持っておすすめする2009年は新樽で熟成させたので、2007年6月に当店でもご紹介したスペシャル・キュヴェと事実上同じです。いや~見事に濁っています(笑)。華やかというよりボリュームのある香り。アフターが非常に長いです。いつものスタイルのボワ・ルカのソーヴィニヨン・ブランとのことですが、これまで以上にエキス分は濃く、どっしりとした味わいになっています。今飲んでもOK!、さらに寝かせてもOK!です。ということは、みなさん最低でも2本は必要ですね(笑)・・・

ここには書かれていませんが、実は新井さんは昨年このソーヴィニヨン・ブランの畑も売却しました。ボワ・ルカの白はこの2009年、そして10年、11年で終わりになります(涙)・・・

飲み頃度★★★★ おすすめ度★★★★★

輸入元定価¥6,090のところ、新春第一弾特別価格で!

こちらもどうぞ・・・(ワインは売切れておりますが・・・)

【番外編!入荷します!あのボワ・ルカのプリムールが姿を変えて・・・】(2012年11月6日配信)

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