私をカリフォルニアワインの道に引きずり込んだ(笑)のはこのワインです・・・スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ

いつもお世話になります。例によって入荷の限られたワインですので、またまた早い者勝ち販売になってしまい申し訳ありません(2013年2月26日配信)。

私をカリフォルニアワインの道に引きずり込んだ(笑)のはこのワイナリーのワインです・・・

カリフォルニアの金字塔ともいうべきワイナリーですからお話することは山ほどありますが、今回は割愛させていただき、後半は少しプライベートなお話になります・・・

《 STAG’S LEAP WINE CELLARS スタッグス・リープ 》

今さらご説明の必要はないかと思いますが・・・世界で一番有名なカリフォルニアワインと言えば、やはり「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ」でしょうね・・・

「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ」スタッグス・リープ地区

ベルベットの手袋をはめた鉄の拳」と表現される特徴的なカベルネ・ソーヴィニヨンを生み出すスタッグス・リープ地区の自社畑「S.L.V」「FAY」から造られるシングル・ヴィンヤード・ワインや、フラッグシップの「Cask 23」は誰もが憧れるワインの1つだと思います。

1964年ウォーレン・ウイニアスキーはシカゴ大学教養学部の政治学の教授の座を辞め、彼の生まれながらの運命を成し遂げるためにカリフォルニアへ向かいました。ウォーレンはシカゴ生まれのポーランド系アメリカ人。ウイニアスキーはポーランド語でワイン屋の子”を意味します。まさに生まれながらの運命。

ウォーレン・ウイニアスキー当時35才。スーヴェラン・セラーズ、そしてロバート・モンダビ・ワイナリーで働きながら醸造技術を習得しました(モンダビではアシスタント・ワインメーカーまで昇格)。ウォーレンはある1本のワインに出会います。当時スタッグス・リープ地区に畑を所有していたネイサン・フェイ(FAY)が造ったワインに自らの理想を感じ、1970年ネイサン・フェイの畑の隣に畑を購入しました。この畑が「S.L.V.
スタッグス・リープ・ヴィン
ヤード」です。害虫駆除のためにバケツいっぱいのテントウムシを畑にばらまいたとか。72年にワイナリーを設立。この地によく見られる赤い岩山の上を“飛び跳ねる鹿”からワイナリーの名前を「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ」と名づけました。(86年にはフェイが所有する畑「FAY」を購入しました。)

ワイナリーの後に広がるフェイ・ヴィンヤード

そのわずか4年後にカリフォルニアワインにとって重要な事件が起こりました。みなさまご存じの「パリ・ブラインドテイスティング」事件です。1976年のパリ博の余興として、またアメリカ建国200年を記念して、イギリスのワイン商であり、アカデミー・デュ・ヴァンの創始者でもあるスティーブン・スパリエがフランスワインと自らが持ち帰ったカリフォルニアワインをブラインドで評価するという企画を実施しました。

今回はお話を割愛させていただきますが、こちらもみなさまご存じのように、赤ワインで優勝したのがスタッグス・リープ・ワイン・セラーズの「1973年 S.L.V カベルネ・ソーヴィニヨン」です。タイム誌には「Judgement of Paris パリの審判」というタイトルがついた記事が掲載され、カリフォルニアワインの存在と実力を知らしめたこの事件は世界中に報道されました。次の日からワイナリーの電話は鳴りっぱなしで、週末にはワイナリーに通じる道には車が長蛇の列をなしたとか。僅か1,900ケースのワイン。販売価格は6ドルほどで、車1台に対して1本の販売だったようです。スタッグス・リープ・ワイン・セラーズは、10年後の1986年リターンマッチでは6位の評価でしたが、2006年に行われたパリ事件30周年記念テイスティングでは総合で2位に選ばれました。

(2006年9月スタッグス・リープ・ワイン・セラーズのナショナル・セールス・マネージャー、ジョン・コルメイヤー氏が来日。1976年6月発行の「タイム」を見せていただきました。これ触ってもいいのですか?と尋ねると、どうぞ!という予想外のお返事でした。)

ちょっとプライベートなお話へ・・・

実は私のワイン・デビューは遅いのです。正式にデビューしたのは29才です。酒屋に生まれ育ったのですが、酒には本当に興味ありませんでした(お酒飲んでましたけど・・・笑)。店を継ぐことになったのですが、お酒の知識が全くありません。当時は、日本酒、ビール、ウイスキーの時代ですから、これらはとりあえず飲んでましたし、飲めばわかるんじゃないかと。しかし、僅かな本数ですが、棚に並んだ輸入ワインは色も味もわかりません。ということで某〇カデミー・デュ・〇ァンさんへ通うことにしました。(女性を口説く時日本酒よりワインの知識があったほうがいいだろうな、とか、スチュワーデスさんに会えるらしい、とか不純な動機が主でしたが・・・笑)。そして当然シャトーなんたらとかドメーヌなんたらというワインに憧れるわけですが、ある日出会ったのが(たしか1992年の春)カリフォルニアワインでした。

それは「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ SLV ~ FAY カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ 1989」です。

こんなに美味しいワインがあるの?え!カリフォルニアワインなの?カリフォルニアワインってこんなに美味しいの?もっと飲んでみたい~もうカリフォルニアワインしか飲まない~(爆笑)。

このワインは、「SLV」 と「FAY」 のブレンドです。ちなみに1989年は「CASK23」は生産されていません。そして「FAY」 の文字がラベルに表記されたのはこれが初めてとのことです。つまり現行の「CASK23」のモデルになったワインなのです。現行の「CASK23」 のファースト・リリースは90年ですから。美味しいわけです。細い目が丸くなりました。目が覚めたって感じでした。

その出会いの日からボルドー、ブルゴーニュを忘れ、フランス、イタリア、スペイン、ドイツを仕入れることを止め、カリフォルニアワインを扱う輸入元さんを探し、その輸入元さんだけに笑顔で挨拶するようになりました(笑)。

つまらないお話が長くなりました・・・

残念ながら後継者がおらず、ウォーレン・ウイニアスキーはワイナリーを手放すことになりました。2007年7月スタッグス・リープ・ワイン・セラーズは、ワシントン州最大手のワイン生産者であるシャトー・サン・ミシェルとイタリア・トスカーナの名門アンティノリの共同会社に売却されました。その額は1億8,500万ドル。

今月2月4日をもって正式に日本エージェントが変更になりました。そして非常に残念ですが、もしかしたら今後当店では取り扱いがなくなるかもしれません(涙)・・・

(ウォーレン・ウイニアスキーは売却後3年はアドバイザーを務めると言ったようですが、ウォーレン・ウイニアスキーのいないスタッグス・リープ・ワイン・セラーズは正直言ってピンときません・・・というか寂しい・・・)

Stag’s Leap Wine Cellars Karia Chardonnay Napa Valley
★スタッグス・リープ カリア シャルドネ ナパ 2010 ¥4,200

「赤」のイメージがやはり強いスタッグス・リープ・ワイン・セラーズですが、実は白もけっこう美味なのです。このシャルドネしかり、そしてソーヴィニヨン・ブランしかりです。

2005年から“カリア”の名称が付けられました。従来のナパ・シャルドネに代わり、自社畑の比率を高め、品質を向上させました。1996年にガーギッチ・ヒルズから購入したのがアルカディアン・ヴィンヤード(クームスヴィル)。繊細でクオリティの高いシャルドネを生み出すことで有名なこの畑の葡萄を主体に契約畑の葡萄をブレンドしています。

発酵と熟成にフレンチオークを使用していますが、けっして重くならず、洋梨、パイナップル、ゴールデンデリシャス・アップルの新鮮なフルーツの風味が満載です。少しのバニラやビスケットの風味も。リッチですがエレガントです!

100%シャルドネ
83%小樽発酵、17%ステンレスタンク発酵
フレンチオーク(29%新樽)にて8ヶ月シュール・リー熟成
55%MLF ALC13,5%
輸入元定価¥4,830

Stag’s Leap Wine Cellars Artemis Cabernet Saivignon Napa Valley
★スタッグス・リープ アルテミス カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ 2009 ¥6,720 WA90
Stag’s Leap Wine Cellars Artemis Cabernet Saivignon Napa Valley
★スタッグス・リープ アルテミス カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ 2008 ¥6,825 残少

Stag’s Leap Wine Cellars Artemis Cabernet Saivignon Napa Valley
★スタッグス・リープ アルテミス カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ 2005 マグナムボトル ¥14,490 1本

世界で最も愛されているナパ・カベルネの1つ。スタッグス・リープ・ワイン・セラーズの顔とも言えるワインです。

2001年から“アルテミス”の名称が付けられました。従来のナパ・カベルネに代わり、自社畑の比率を高め、品質を向上させました。ワイナリーが誇る「SLV」「FAY」、そして優良な契約畑の葡萄をブレンドします。アルテミスはギリシャ神話の“月と狩猟の女神”です。

レッドチェリー、カシスの香り。クローブやセージのドライハーブの香りも。いわゆるカリフォルニアにありがち?なコテコテの味わいではありません。シルキーなアタック、ふくよかで優しい果実味、なめらかで心地良いタンニンです。この価格帯でこんなに素敵な味わいのボルドーございません。まさにエレガント!

86%カベルネ・ソーヴィニヨン、14%メルロー
ステンレスタンクにて発酵
フレンチオーク(48%新樽)にて18ヶ月熟成
ALC14,5%
輸入元定価¥7,665 (2009年)

Stag’s Leap Wine Cellars S.L.V. Estate Cabernet Sauvignon Napa Valley
★スタッグス・リープ S.L.V.カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ 2009 ¥16,590
WA91Stag’s Leap Wine Cellars S.L.V. Estate Cabernet Sauvignon Napa Valley
★スタッグス・リープ S.L.V.カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ 1992 ¥18,900 2本

1976年パリ・ブラインドテイスティングでムートン、オー・ブリオン、モンローズ、レオヴィル・ラスカーズを打ち負かし、カリフォルニアワインの存在と実力を世界に知らしめたのがこの「S.L.V.」です。パリ・ブラインドテイスティングに出品したのは1973年ヴィンテージでした。

S.L.V. スタッグス・リー・ヴィンヤード」はウォーレン・ウイニアスキーが1970年に最初に購入し、入植した畑です。後年自社畑となるネイサン・フェイの畑「FAY」の隣に位置します。川からの沖積土壌のFAYは“水のワイン”と呼ばれ、火山灰土壌、瓦礫土壌のS.L.Vは“火のワイン”と呼ばれ、FAY よりも力強い味わいを生み出すと言われています。

100%自社畑「S.L.V.」
100%カベルネ・ソーヴィニヨン
ステンレスタンク発酵
フレンチオーク(84%新樽)にて20ヶ月熟成
100%MLF ALC13,5%
輸入元定価¥18,060 (2009年)

全て正規輸入元のワイナリー蔵出し品です。1992年はアッパー・ショルダー(やや肩口にかかる)状態です。

The 2009 Cabernet Sauvignon SLV Estate shows off deep layers of expressive black fruit, licorice, white flowers and tar. Here, too, the influence of Antinori is felt in the wine’s polish, even if the real leap in quality does not take place until 2010 for this bottling. Layers of fruit build effortlessly to the big, dramatic finish. This is a hugely delicious wine with plenty of intensity and sheer personality. Anticipated maturity: 2012-2024. – Antonio Galloni, Wine Advocate #198 –

Stag’s Leap Wine Cellars Cask 23 Estate Cabernet Sauvignon Napa Valley
★スタッグス・リープ カスク 23 カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ 2009 ¥24,990 WA94+
Stag’s Leap Wine Cellars Cask 23 Estate Cabernet Sauvignon Napa Valley
★スタッグス・リープ カスク 23 カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ 2005 ¥23,100 3本
Stag’s Leap Wine Cellars Cask 23 Estate Cabernet Sauvignon Napa Valley
★スタッグス・リープ カスク 23 カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ 1999 ¥23,100 1本

「カリフォルニアワインの育ての親」と言われるアンドレ・チェリチェフに指示を仰いでいたウォーレン・ウイニアスキーは、1974年アンドレとブレンディングを行なった際自社畑のある一画のキュヴェ(S.L.V. のブロック4)が明らかに他と違うことに気がつきました。ウォーレンは「23」と書かれたその樽を他とブレンドせずに特別なキュヴェとしてリリースしました。カスク23の誕生です。

「S.L.V.」と「FAY」をブレンドする現状のカスク23は1990年ヴィンテージからです。私をカリフォルニアワインの道に引きずり込んだワインは前年の1989年に造られた「S.L.V. ~ FAY ブレンド」というワインです。現在の「Cask 23」のモデルとなったワインです。このワインと出会い、大好きだったコス・デストゥルネル、ピション・ラランド、ランシュ・バージュとはお別れしました(笑)。

100%自社畑「S.L.V」「FAY」
100%カベルネ・ソーヴィニヨン
ステンレスタンク発酵
フレンチオーク(90%新樽)にて20ヶ月熟成
100%MLF ALC13,5%
輸入元定価¥27,720 (2009年)

全て正規輸入元のワイナリー蔵出し品です。1999年はアッパー・ショルダー(やや肩口にかかる)上部状態です。

The Cabernet Sauvignon Cask 23 Estate is dark rich and intensely satisfying. Layers of dark fruit flow effortlessly from this big, textured Cabernet Sauvignon. The 2009 possesses gorgeous mid-palate depth and stunning overall balance, especially relative to other recent vintages. This is a super-impressive showing. Anticipated maturity: 2014-2029. – Antonio Galloni, Wine Advocate #198 –

金額は全て税込価格です。クール代は送料とは別途ご請求になります。

カリフォルニアワインのベンチマークと言える「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ」。多くの醸造家がここで修業しました。ご存じでしたか?スタッグス・リープ・ワイン・セラーズの従業員第1号は「フロッグス・リープ」のジョン・ウイリアム氏ことジョンさんなのです。ワイナリーを訪問した時、当時のお話も少しお聞きしました。ジョンさんが最初にワイン造りを始めたのは昔「カエル」の養殖地だった場所。修業したスタッグス・リープ・ワイン・セラーズの「リープ」をお借りして、そしてパロッて「フロッグス・リープ」と名前を付けたのです。ジョンさんらしい(笑)・・・

まさに「A Napa Valley First Growth」。後世に伝えるべき歴史的文化財として、パリ・ブラインドテイスティングで勝利したボトルはスミソニアン博物館にも展示されています。

(ちなみに「フロッグス・リープ」のラベルもスミソニアン博物館に展示されているとか・・・笑)

先週サンタ・バーバラから「オー・ボン・クリマ」のジム・クレンデネン氏と、「オハイ」のアダム・トルマック氏が来日しました。輸入元主催のセミナーに行ってきました。

実はジムさんとアダムさんは旧友で、お2人は1982年に共同経営でサンタ・バーバラに会社(オー・ボン・クリマ)を設立しました。91年に独立し、ジムさんはオー・ボン・クリマを続け、アダムさんはオハイを設立しました。

ジムさんとは4年振りのご対面でした。アダムさんは初来日です。

ブログ【ジムさんと久しぶりのご対面!アダムさんと初のご対面!】(2月21日)

この内容は、アドレスを頂戴した方にHP公開前にメールでお送りしています。ゆえにHP公開時にはすでに売切れのワインもございます。【チアーズ!カリフォルニアワイン】は、美味しいカリフォルニアワインをお送りしています。