初来日です。サンタ・バーバラを代表する、いえいえ、今やカリフォルニアを代表する醸造家の1人であるポール・ラトー氏が初来日しました。
今回は全くのプライベートでの訪日ということでしたが、急遽ワインメーカーズ・ディナー開催となりました。カリフォルニアの新聖地「イル・ド・コリンヌ」さんに彼のワインファンが集まりました。
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ポール・ラトー氏はポーランド生まれ。スペインを経てカナダに移住。カナダでソムリエをしていましたが、ある日飲んだオー・ボン・クリマのシャルドネに心惹かれ、自分の手でワインを作りたいという思いに駆られました。すぐにジム・クレンデネンに連絡をとり思いを告げました。そしてジム・クレンデネンの招きでサンタ・バーバラへ。オー・ボン・クリマ、キュぺなどでワイン造りを学び、2002年に6樽の自身初めてのワインを生産しました。まもなくロバート・パーカーがポール・ラトーを訪ね、彼のワインに高い評価を付け、ポール・ラトーのワインは一躍注目されました。
某一流ホテルのカリフォルニアワインに詳しい若手ソムリエもお手伝いに参加しました。ポール・ラトー氏は1時間前にお店に入り、ワインのデキャンディングやサービス温度を助言したそうです。さすが元ソムリエです。お料理もとても素敵で、見事なワインペアリングとなりました。ですが本日はあまり堅苦しい感じではなく、和気あいあいとした雰囲気でワインを楽しみました。
ポール・ラトー氏からオー・ボン・クリマのシャルドネに出会うまでのお話をお聞きしました。まさに衝撃の出会いだったと。そしてワインを飲みながらワインについてのお話をお聞きしました。ワインはこちらです。
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- Paul Lato -
★Chardonnay “Matinee” Santa Barbara County 2020
★Chardonnay “Goldberg Variations” No.2 Hyde Vineyard Carneros Napa Valley 2019
★Pinot Noir “Matinee” Santa Barbara County 2021
★Pinot Noir “Seabiscuit” Zotovich Vineyard Sta. Rita Hills 2019
★Pinot Noir “Seabiscuit” Zotovich Vineyard Sta. Rita Hills 2015
★Pinot Noir “Lancelot” Pisoni Vineyard Santa Lucia Highlands 2016
ロバート・パーカーが選ぶ最高峰エクストラ・オーディナリーの17のピノ・ノワール生産者の1人である「ポール・ラトー」です。
残念ですがポール・ラトーは詳しい醸造データを公開しておりません。ワインには名前が付けられています。マチネは直訳で朝の意味。朝から飲めるワインだとか(苦笑)。マチネは演劇や音楽会などの昼興行のこと。夜のチケットに比べると少しお安い昼のチケット。そんな意味合いで、マチネは複雑で熟成が必要なシングルヴィンヤード・ワインより少し早く楽しめる少しお得な価格のブレンド・ワインです。マチネ・シャルドネは4つの畑のブレンド。生き生きとした果実味に心地良い樽の風味が重なります。トータルバランスに優れたシャルドネです。そしてゴールドバーグ・ヴァリエーションズと名付けられたハイド・ヴィンヤード・シャルドネです。ご存じナパ・カーネロスの2大グランクリュ畑の1つであるハイド・ヴィンヤードです。まだまだ若い果実味で、ふくよかな蜜のような味わいですが、非常に洗練された仕立てです。この2019年にジェブ・ダナックが95点を付けました。前年2018年にはジェブ・ダナックが97点、ワイン・アドヴォケイト誌が96点を付けました。
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そしてマチネ・ピノ・ノワールです。3つの畑のブレンドです。黒よりも赤を思わせる色合いと味わい。華やかな果実味で、やはりトータルバランスに優れたピノ・ノワールです。シービスケットはサンタ・リタ・ヒルズに位置するゾトビッチ・ヴィンヤードから。ポール・ラトーを援助していたある人が「畑を買った」と突然言ってきました。その畑を見に行ったポール・ラトーは唖然としました。全く良い畑ではなかったのです。ポール・ラトーはその人に援助してもらい畑を改善しました。今では一流ワイナリーがその葡萄を欲しがるという銘醸畑となりました。2019年はまだ生き生きとした果実味。2015年は今がベストかなという果実味でした。華やかでテクスチャーのあるピノ・ノワールです。ちなみにシービスケットは1920年代に活躍した有名な競争馬の名前です。最後にランスロットはご存じサンタ・ルチア・ハイランズのピゾーニ・ヴィンヤードから。ポール・ラトーには本家ピゾーニ・ワイナリーが使用するオールド・ブロック(最初に植樹された区画)の葡萄が供給されています。フレンチオーク(新樽比率は60%前後)で15ヶ月前後の熟成。上級のミュジニーを彷彿させる見事な赤黒系の果実味です。生産量は多くて10樽ほど。本家より貴重なピゾーニ・ヴィンヤード・ピノ・ノワールです(苦笑)。最高評価は、2021年にジェブ・ダナックが98点を、2018年にワイン・アドヴォケイト誌が97点を付けています。
ポール・ラトーはシラーも高い評価を得ていますが、やはりピノ・ノワールが非常に高い評価を得ています。ロバート・パーカーが選ぶ「最高峰エクストラ・オーディナリーの17のピノ・ノワール生産者」の1人です。ピノ・ノワールは、1にパヒューム、2にテクスチャー、3にストラクチャーと。特に1が重要必要かなと。ピノ・ノワール造りにはとても真摯な方だと思います。ピノ・ノワールはワインへの愛がないと作れない品種なのですね。
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お話したように、お店に到着するともうポールさんがいらっしゃいました。お食事が始まる前にご挨拶できました。「実は私カリフォルニアワインに特化した小さいショップをしてます。」「そうですか。」先にご挨拶した方は持参したワインボトルにサインを頂戴していました。「私もサイン頂戴したいです。私のシャツに。」「シャツに?」「これです。ジャイアンツです。野球に興味ありますか?野球の試合をテレビで見ますか?」「ない。ない。サッカーが好き。」さすがヨーロッパ生まれです(苦笑)。「サインは全てカリフォルニアのワイナリーのオーナーとワインメーカーのサインです。これがあなたの師匠のジム・クレンデネンさん。サンタ・ルチア・ハイランズのグレッグさん(グレッグ・ブリュワー)とチャッドさん(メルヴィル)。そしてジェフ・ピゾーニさん。」「おお!」ジャージをひっくり返して「そしてゲーリー・ピゾーニさんです。先週ゲーリーさんにお会いしました。」「おお!サインするよ!」と。友人のサインを見てとても驚いてました。そしてとても楽しそうにサイン書いてくださいました。「ゴー!ドジャース ゴー!パドレス」「なに言ってんですか。ゴー!ジャイアンツですよ!(苦笑できない)」ちなみにポールさんは日本への愛が凄いのです。やっと願いがかなった今回の訪日。またすぐにでも日本に来たいとおっしゃっていました。
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最後にお店の壁にサインを(苦笑)。。。
#Paul Lato Wines
#Santa Barbara County
#ile de Colline
#イル・ド・コリンヌ
#カリフォルニアワインの新聖地
【そうなるかなと思っておりましたが・・・やはりそうなりました・・・】(2024年9月17日)