ディック&アン・グレース夫妻と再々会!

幻のカルトワイン、グレース・ファミリーのオーナー夫妻ディック&アン・グレース夫妻が来日しました・・・

グレース・ファミリーは、現在は日本に極少量正規入荷していますが、数年前までは“幻のカルトワイン”と呼ばれるワインでした。アメリカ国内でもメーリング・リストに登録した者しか購入できません。僅かな生産量のためいつ入手できるかわからないにもかかわらず、なんとウエイティング・リストには4,000人もの名前が連なっていたとか。1978年ケイマスグレース・ファミリー・ヴィンヤード・カベルネ・ソーヴィニヨンとして誕生。83年からグレース・ファミリー・カベルネ・ソーヴィニヨンとなりました。95年からは、ダラ・ヴァレ・マヤ、スクリーミング・イーグルでパーカー100点を獲得した、“ワイン造りの女神”と呼ばれるハイジ・バレットがワインメーカーに就任しました(2000年ヴィンテージまで)。現在はバイオダイナミック技術を駆使した農法に取り組んでいます。

2001年セントヘレナのご自宅を訪問しました・・・

そのお話はこちらからどうぞ・・・

【グレートなグレースを飲ませてグレーッス・・・】(2007年10月30日配信)

ディック&アン・グレース夫妻は7年振りの来日です。来日に伴いグレース・ファミリーの正規輸入元(株)中川ワイン主催によるセミナーが本日帝国ホテルで行なわれました。

会場に入ったのはセミナー開始15分前。今日は少し早く店を出ようと思っていたのですが、こういう時に限って仕事が入ってきます(涙)。バタバタで出発しました(後で事件が・・・)。すでにディックは会場にいます。セミナー開始前に1人1人に挨拶に廻っています。そして私の前へ・・・

「ミスター・ディック、実は2001年にケイさんと一緒にご自宅を訪問しました。」「オー、覚えてるよ」「ホントですか(喜)」(私のことは覚えてないでしょ・・・ケイさんが数人連れて自宅を訪問したことを覚えているんでしょうけど・・・笑)「それと、2004年に来日された時ランチをご一緒しました。その時私が持込した1987年のマグナムボトルをみなさんでシェアしました」「オー、そうそう覚えてるよ」(ほんとかなぁ・・・笑)

セミナー開始です。まずディックからワイナリーの歴史やワイン造りに対する思いなどのお話がありました。通訳は、カリフォルニア在住12年の間に素晴らしいカリフォルニアワインをたくさん日本に紹介した、ディックの娘(笑)の渡辺ケイさんです(ディックはケイさんを実の娘のようにかわいがっていますので・・・)。

さてさて、本日のテイスティングは2本です・・・

Grace Family Vineyards Cabernet Sauvignon Napa Valley
★グレース・ファミリー カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ 2010

Grace Family Vineyards Blank Vineyard Cabernet Sauvignon Napa Valley
★グレース・ファミリー ブランク カベルネ・ソーヴィニヨン 2010

33度目のリリースとなったエステートの2010年カベルネ・ソーヴィニヨンと、設立25周年を記念して2001年ヴィンテージでデビューしたブランク・ヴィンヤードの2010年カベルネ・ソーヴィニヨンです。ブランク・ヴィンヤードはグレース・ファミリーの畑のクローンから誕生した畑です。クローン、接木、ヴィンヤード・マネージャー、ワインメーカー、全て同じ条件で造られます。違うのは畑の場所、そしてテロワールです。エステートはヒルサイド(標高200m)で比較的涼しい場所、ブランクはヴァレーフロア(標高60m)で比較的温暖な場所です。その違いが味わいに現れます。エステートはカラントやブルーベリーのブラックフルーツ満載で、深みと凝縮感があります。ブランクはラザフォード・ダストと言われるミント、ユーカリ、チェリーの風味のあるア―シ―な味わいです。どちらも225Lのフレンチオーク(新樽70~80%)で18ヶ月前後の熟成。アルコール度数は13,6%~13,8%くらいです。素晴らしいワインです、涙の出るワインです。しかも、今回テイスティングした2010年はディックが歴代ベスト3に上げるヴィンテージの1つとのことです(ちなみあと2つは、1980年、1994年だそうです)。輸入元定価は、エステート・カベルネが¥63,000、ブランク・カベルネが¥29,400(予定)です。

緊張のテイスティングが終わり、質疑応答に入ります。私が最初に質問しました。「以前ミスター・ディックは1987年ヴィンテージがお気に入りと言っていましたが、ベスト3には1987年は入っていません。私1987年たくさん持っているんですが・・・」デックは「たくさん持っているのかい?うちのセラーには87年はもうないから全部買い取るよ。」緊張の会場が一気に大笑いです。「1987年はお気に入りのヴィンテージだよ。(自宅裏の)醸造所が完成した年なんだ。つまり完全なエステートワインが出来上がった年なんだよ。とても思い出深い年だよ。」グレース・ファミリーはポスターを作っています。このポスターにディックはサインをしたり、言葉を書き入れてくれます。このポスターには1987年のボトルが描かれています。ベスト3じゃなくても、ディックにとっては大切な思い出のあるヴィンテージとのことです(ちょっと安心です・・・)。

セミナー終了です。私はディックのもとへ行き、例の質問をしました「あの~ジャイアンツのファンですか?サンフランシスコ・ジャイアンツです・・・」と例のジャージを取り出すと、なんとアンさんがめっちゃ興奮して「大ファンよ!」と。ディックもジャージを見て大笑いです。ジャージに書かれた名前を指差して「凄いな!」と。ところが、記念写真を撮ろうとしたら、デジカメがなんか変なんです・・・SDカードが入っていません・・・あ!店のパソコンに差し込んだままだぁ(涙)・・・しかたがないので携帯(古っ)で・・・

書く場所がないのでまた内側に・・・ビル・ハーラン、マイケル・モンダビの横に・・・(すげ~)
ディックはいつも “Be Optimystic” とサインするんです・・・わざとyを入れるのがディックらしいところです・・・

(optimysticはoptimistic「楽観的に、前向きに」とmystic「神秘的な」を掛け合わせた、ディックの創った造語です・・・)

素敵なご夫妻、ディック&アン・グレースご夫妻です・・・

ディック&アン・グレース夫妻は、グレース・ファミリーの売り上げを難病と闘う世界中の子供たちに寄付をしています。今回の来日のもう一つの目的は、東北大震災で被災した子供たちに会いに行くことです。数日後には岩手県の大槌町を訪れるそうです。ここは4つの小学校と1つの中学校が津波で流されたそうです。ディックとアンはただお金を寄付するだけではありません。実際に現地を訪れ、現地の人が今本当に必要なものを聞き、それを用意するのです。ディックはこう語ります。「足が不自由な子は私達よりもぜんぜんバランス良く歩くことができる。耳が不自由な子は私達よりももっともっと素晴らしい音を聞くことができる。彼らからは本当にたくさんのことを学んだ。僕にとって彼らは神様から授かった宝なんだ。」「子供たちの笑顔に勝るものはない・・・このワイナリーがあったからこそ(子供達の希望を)実現することができた・・・」いろいろお話が長くなるので全部はお話できませんが、これがディックのワイン造りのコンセプトにもなっています。前日のディナーでは今回の東北訪問のためにチャリティ・オークションが行われたようです。こういう目的のためにディックは素晴らしいエッチングのマグナムボトルやダブルマグナムボトルを造るんです。販売のためではありません。本当に素晴らしいご夫妻、ディックとアンです。

アンはジャイアンツのジャージ見てホントに興奮してました(笑)・・・楽しい再々会でした(喜)・・・

グレース・ファミリー、そしてグレース夫妻の長男夫妻が造るワイズ・エーカーはこちらからどうぞ・・・

【幻のカルトワイン、グレース・ファミリーのオーナー夫妻が来日しました・・・】(11月27日配信、30日公開)

 

 

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