ボー・バレット氏と再々会!(シャトー・モンテレーナ)

カリフォルニアワインを世界に知らしめた、ご存じ1976年の仏米パリ対決パリスの審判 The Judgement of Paris 」。そのパリ対決の立役者の1人である「シャトー・モンテレーナ」の現当主ボー・バレット氏が来日しました。今年はパリ対決から40周年の記念の年。ボー・バレット氏をお招きして、アカデミー・デュ・ヴァン青山にて「パリ対決から40年の現在」というセミナーが開催されました。モデレーターは「パリスの審判」の翻訳家でワインライターの葉山孝太郎氏が務めました。

「パリ対決」のお話はこちらからどうぞ・・・

https://www.adv.gr.jp/column/04/index.shtml

 The 40th Anniversary of
“The Judgement of Paris”
 モンテレーナ4

1969年ジム・バレット氏は、その起源は1880年代に遡るというシャトーを購入し、ワイン造りを始めました。背後にそびえ立つマウント・セント・ヘレナから命名された石造りのシャトーです。そしてこのワイナリーを一躍有名にしたのが1976年「パリ対決」こと、パリ・ブラインドテイスティングです。パリ博の余興として、またアメリカ建国200年を記念して、イギリス人ワイン商でありアカデミー・デュ・ヴァンの創設者としても有名なスティーブン・スパリエがフランスワインと自らがカリフォルニアから持ち帰ったカリフォルニアワインをブラインドで評価するというイベントを行いました。審査員は全員フランス人で、当時フランスワイン界に最も精通したトップテイスターの方々です。この方々が選んだワインは・・・

赤ワインの優勝者はスタッグス・リープ・ワイン・セラーズ。白ワインの優勝者はシャトー・モンテレーナでした。シャトー・モンテレーナのシャルドネは1973年。2度目のリリースで、ナパ・ヴァレーの2つの畑とソノマの畑の葡萄から造られたシャルドネでした。このシャルドネを造ったのは、現ガーギッチ・ヒルズのオーナー、マイク・ガーギッチ氏でした。

創業者ジム・バレット氏の長男で、創業当時からワイナリーで働くボー・バレット氏。ボー・バレット氏から、パリ対決がモンテレーナに与えた影響、ナパの他のワイナリーに与えた影響などについてボー・バレット氏からお話がありました。また当時から変わらないモンテレーナのヨーロッパ的スタイルのワイン造りについてお話がありました。ちなみにパリ対決当時、ワイナリーにはボス(マイク・ガーギッチ)とセラーワーカーの3人がいただけだったとか。その1人がボー・バレット氏でした。22歳でした。パリ対決の現地にいたジム・バレットからの連絡はテレグラムで。受け取ったマイク・ガーギッチは「we won! we won!」と。みんなで大はしゃぎだったとのことです。

 モンテレーナ5

テイスティングはこちらです・・・価格は輸入元上代価格(税別)です・・・

 Chateau Montelena Sauvignon Blanc Napa Valley 2014
★2014 ソーヴィニヨン・ブラン ナパ・ヴァレー ¥4,600
 Chateau Montelena Chardonnay Napa Valley 2013
★2013 シャルドネ ナパ・ヴァレー¥8,100
 Chateau Montelena Chardonnay Napa Valley 2011
★2011 シャルドネ ナパ・ヴァレー
 Chateau Montelena Chardonnay 2007
★2007 シャルドネ ナパ・ヴァレー
 Chateau Montelena Estate Zinfandel Napa Valley 2012
★2012 エステート ジンファンデル ナパ・ヴァレー ¥6,400
 Chateau Montelena Estate Cabernet Sauvignon Napa Valley 2012
★2012 エステート カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー ¥15,300
 Chateau Montelena Estate Cabernet Sauvignon Napa Valley 2006
★2006 エステート カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー

まずは希少なソーヴィニヨン・ブランです。生産量は約1,000ケース。ワイナリーのテイスティングルームでしか味わえないワインでしたが、現在日本に極少量輸入されています。綺麗な白い花の香り。フレッシュな果実味と心地良い酸が特徴です。そしてパリ対決優勝のシャルドネは3ヴィンテージを比較試飲。2013年は温暖な年で、まだトロピカルでリッチな果実味が残ります。2011年は冷涼な気候が生み出したやや複雑味のある果実味です。2007年は熟成した甘味のある、ボリュームのある果実味です。共に100%フレンチオーク(約10%新樽)で約10ヶ月の熟成。全てのシャルドネに共通するのは、綺麗な柑橘系の果実味をほどよいオークの風味が包み込んでいることです。けっして重い味わいのシャルドネではありません。ですがきちんと熟成するシャルドネでです。エステート・ジンファンデルはブラックチェリーやドライハーブを思わせる香りを持つエレガントさを感じるチャーミングな果実味です。ジンファンデルは創業当時から造られており、かつてカリフォルニアにありがちだった甘い濃いジンファンデルとは違います。僅かなヴィオニエと一緒に醸造されるようです。99%ジンファンデル(68%プリミティーヴォ・クローン)、1%プティ・シラーで、フレンチオークとアメリカンオークで14ヶ月熟成。そしてエステート・カベルネ・ソーヴィニヨンは2ヴィンテージを比較試飲。グレート・ヴィンテージとなった2012年はカシス、ブラックベリーなどの若い赤黒系果実の香りと風味が満載です。したたかなパワーもありタンニンもしっかりあります。ですが低アルコールで、エレガントでバランスのとれたクラシカルな味わいです。98,5%カベルネ・ソーヴィニヨン、1%カベルネ・フラン、0,5%プティ・ヴェルドで、100%フレンチオーク(30%新樽)で24ヶ月熟成。2006年は少し熟成した色合いを見せ、プラム、クローブ、ブラックカラントの香りを持ちます。落ち着きのある果実味の中にミネラル感を感じさせ、心地良い酸が全体をまとめています。98%カベルネ・ソーヴィニヨン、2%カベルネ・フランで、100%フレンチオークで22ヶ月熟成。ナパの土壌は、火山性、沖積性、海洋性の3種類がありますが、モンテレーナのエステート畑はこの3つ全てを含んでいるとのこと。それが複雑味のある味わいを造り出しているとのことです。カベルネ・ソーヴィニヨンもシャルドネ同様ビッグなスタイルのワインではなく、きちんと熟成するクラシカルなスタイルのワインです。

パリ対決でシャルドネで一躍有名になったモンテレーナですが、創業からの目標はクラシカルでエレガントな味わいを持つ、ヨーロッパ的スタイルのカベルネ・ソーヴィニヨンでした。シャルドネが飛ぶように売れたため、本来の目的であるカベルネ・ソーヴィニヨン造りに資金を回せたとのこと。エステート畑は偶然フィロキセラに耐性のある台木を使用していたため被害を受けることはありませんでした。モンテレーナのワイン造りは、エレガント、サイエンス、ファームの融合です。現在はトータルで5万ケースを製造します。

非常にたくさんの質疑応答のあったセミナーですが、個人的にはボー・バレット氏と奥様(ハイジ・バレット女史)の出会いのお話が一番興味深かったです(笑)。まだボー・バレット氏がフレスノ大学の学生だった頃、ヨントヴィルのサルーンという西部劇に出てきそうなバーに入ると目の前に座っていたのがハイジ・バレット女史だったそうです。一目惚れだったそうです。

(ご存じの方も多いと思いますが、ボー・バレット氏の奥様は、あのダラ・ヴァレ・マヤやスクリーミング・イーグルを生み出した、”ワイン造りの女神”と言われるハイジ・バレット女史です。ボー&ハイジ・バレット夫妻は2008年に Barrett & Barrett というブランドを立ち上げました。)

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公式来日4度目のボーさん。前回来日の2013年にサインを頂戴しました(2度目の時に初めてお会いしましたが、ジャージ持って行くのを忘れました・・・)。ボーさんはもちろんジャイアンツの大ファンです。セミナーにはギリギリで到着。一番後ろの席に着席。なんとなく目と目が合うので、気がついてくれてるのかなぁと。セミナー終了と同時にジャイアンツのジャージを掲げると、ボーさんは雄叫び上げてました(笑)。

「またお会いできて光栄です。」「ユーのこともちろん覚えてるよ。」「ゴー!モンテレーナ、ゴー!ジャイアンツ、ですね。」「その通り(笑)。。。」

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【ボー・バレット氏来日!(シャトー・モンテレーナ)】(2013年4月9日)

 

 

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