ネイサン・ロバーツ氏来日!(アルノー・ロバーツ)

ニュー・カリフォルニアワインと言われる新潮流ワイン生産者の1人で、そのパイオニア的存在である「Arnot-Roberts アルノー・ロバーツ」のネイサン・ロバーツ氏が来日しました。輸入元主催の特別試飲会に参加しました。

アルノー・ロバーツ」は、ダンカン・アルノー・マイヤーズネイサン・リー・ロバーツの2人の幼馴染みによって2002年に設立されました。ダンカンはプロの自転車競技選手を目指していましたが、夢を諦めワインの世界へ。ケイマス、グロス、コングスガードなどでワイン造りを学びました。ネイサンの祖母はあのロバート・モンダビ翁の愛妻マーグリット・モンダビさんです。アルノー・ロバーツのラベルはマーグリットさんがデザインを手掛けました。ネイサンの父親は樽職人です。たった1樽のワインから始まったアルノー・ロバーツのワインですが、繊細な味わいで独特の風合いを持つワインは徐々に人気が高まり、2012年アメリカ全国紙で特に北米で人気のあるサンフランシスコ・クロニクル紙でワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを獲得しました。

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アルノー・ロバーツが造るのは、いわゆるアルコール度数の高い濃厚な果実味のカリフォルニアワインとは正反対の、アルコール度数の低い繊細な味わいを持つ”ニュー・カリフォルニアワイン”と呼ばれる新潮流のスタイルのワインです。また、シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニョン、シラーなどのメジャー品種の他に、リボッラ・ジャッラ、トゥルソー、ガメイ・ノワール、トゥリガ・ナシオナルなどのオールド・ワールドのマイナー品種にも取り組みます。ワイン醸造は基本的に土着酵母で発酵を行い、新樽は最小限または不使用で、旧樽で熟成を行います。そして特筆すべきは葡萄の出所です。アルノー・ロバーツが使う葡萄はユニークで個性的な畑から。こんな場所に畑があるのか、こんな場所で葡萄が育つのか、という地理的に極限的な場所から畑を見つけ出します。そこは非常に冷涼地であったり、非常に標高の高い場所であったり。アルコール度数の低いアルノー・ロバーツのワインは醸造よりもむしろ畑の葡萄にその理由がありそうです。このような冷涼地では葡萄の育成期間が長くなります。そして単に収穫時を早めるのではなく葡萄の糖度と酸度が理想的なバランスとなった時に収穫します。葡萄の糖度(アルコール度数)は低めで酸が高く、ワインはフレーバーのある凝縮した味わいとなります。このような場所の畑が持っているポテンシャルを最大限に引き出すのがダンカンとネイサンの役割です。

 アルノー・ロバーツ1

テイスティングはこちらです・・・(価格は輸入元税抜価格です・・・)

Arnot-Roberts アルノー・ロバーツ

Watson Ranch Chardonnay Napa Valley 2016
★ワトソン・ランチ シャルドネ ナパ・ヴァレー 2016 ¥6,700
Trout Gulch Vineyard Chardonnay Santa Cruz Mountain 2016
★トラウト・ガウチ・ヴィンヤード シャルドネ サンタクルーズ・マウンテン 2016 ¥7,500
Vare Vineyard Ribolla Gialla Napa Valley 2015
★ヴァレ・ヴィンヤード リボッラ・ジャッラ ナパ・ヴァレー 2015 参考商品
Gamay Noir El Dorado 2016
★ガメイ・ノワール エル・ドラド 2016 参考商品
Trousseau North Coast 2016
★トゥルソー ノース・コースト 2016 参考商品
Clary Ranch Pinot Noir Sonoma Coast 2016
★クラリー・ランチ ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2016 ¥10,000
Legan Vineyard Pinot Noir Santa Cruz Mountain 2016
★レーガン・ヴィンヤード ピノ・ノワール サンタクルーズ・マウンテン 2016 ¥10,000
Clajeux Vineyard Cabernet Sauvignon Chalk Hill 2014
★クラジュー・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニョン チョーク・ヒル 2014 ¥14,000
Clajeux Vineyard Cabernet Sauvignon Chalk Hill 2012
★クラジュー・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニョン チョーク・ヒル 2012 参考商品
Fellom Ranch Cabernet Sauvignon Santa Cruz Mountain 2014
★フェロム・ランチ カベルネ・ソーヴィニョン サンタクルーズ・マウンテン 2014 ¥14,000
Montecillo Cabernet Sauvignon Sonoma Valley 2014
★モンテチッロ・ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニョン ソノマ・ヴァレー 2014 ¥14,000
Syrah North Coast 2013
★シラー ノース・コースト 2013 参考商品
Syrah North Coast 2016
★シラー ノース・コースト 2016 ¥6,700
Clary Ranch Syrah Sonoma Coast 2015
★クラリー・ランチ シラー ソノマ・コースト 2015 ¥8,500
Que Syrah Vineyard Syrah Sonoma Coast 2015
★ケイ・シラー・ヴィンヤード シラー ソノマ・コースト 2015 参考商品

自然派ワインの表現は正直難しいです(笑えない)。ワトソン・シャルドネはナパ・ヴァレー最南端から。石灰土壌に由来することで、シャブリを思わせる。トラウト・ガウチ・シャルドネはサンフランシスコ南部のサンタクルーズ・マウンテンから。80年代に植えられたウェンテ・クローンから。共に凝縮した果実味ですが、全く重くなく、上品でむしろ軽やかです。冷涼地ならではの味わいでしょうか。しかしミネラル感はありありです。北イタリアで有名なリボッラ・ジャッラ。ヴァレ・リボッラ・ジャッラはナパ・ヴァレー南西部から。香りは華やか。ハーブのアロマ。旨味のある果実味ですが、綺麗な酸が全体を引き締めます。サクラメントの東、シエラ・ネバダのエル・ドラド・ガメイ・ノワール。ストロベリーの香り。フレーバーを伴う華やかな味わい。フランス東部ジュラ地方で有名なトゥルソー。ノース・コースト・トゥルソーはソノマやメンドシーノから。クランベリーの香り。こちらもフレーバーを伴う華やかな味わい。共にしっかりと果実味を感じるものの綺麗な果実味で、華やかさが特徴です。ピノ・ノワールはやや濁りを見せる、透明感のある色合い。クラリー・ピノ・ノワールはソノマ・コーストで葡萄が熟成するギリギリの地域、ボデガ・ベイの北部から。華やかでピュアな果実味。綺麗な酸があります。レーガン・ピノ・ノワールはサンフランシスコ南部のサンタクルーズ・マウンテンの南端から。こちらも華やかでピュアな果実味ですが、冷涼地を思わせるドライなスタイルです。共にカリフォルニアにありがちな甘くて濃厚なピノ・ノワールではなく、いわゆる薄旨の上品なピノ・ノワールです。しかししっかりと主張をするピノ・ノワールです。カベルネ・ソーヴィニョンは異色の地から。クラジュー・カベルネ・ソーヴィニョンはルシアン・リヴァー・ヴァレーの北東部のチョーク・ヒルから。冷涼地の火山性土壌。カシスやブラックチェリーを彷彿させる果実味は重くなく、しなやかで華やか。フェロム・ランチ・カベルネ・ソーヴィニョンはサンタクルーズ・マウンテンから。標高の高い冷涼地に由来するのか、ボルドーを彷彿させるような非常にドライで引き締まった味わい。2015年は僅か3樽の生産。モンテチッロ・カベルネ・ソーヴィニョンはソノマ・ヴァレーから。標高の高い場所にある火山性土壌の畑で、ソノマ最古の葡萄樹が存在します。非常にふくよかな(強くない)果実味で、バランスがとれエレガントなスタイルに仕上がっています。2015年は僅か3樽の生産。カベルネ・ソーヴィニョンは一部全房を含むことでフルーティーさを制御しているようです。ソノマ・コースト・シラーはソノマ北部の数か所の畑のブレンド。プラム、ブルーの華やかな香り。ハーブも。重くなく、やはり華やかさのある果実味。クラリー・ランチ・シラーはソノマ・コーストで葡萄が熟成するギリギリの北限の地域、ボデガ・ベイ北部から。旨味を抑えた?ようなドライな果実味。ケイ・シラー・シラーはオクシデンタル北部から。フレーバーを伴う濃縮した果実味。濃厚ですが、やはり重くはありません。カリフォルニアにありがちな、いわゆる甘く重いシラーとは一線を画します。シラーは基本的に全房発酵を行うようです。他のカリフォルニアのシラーにはあまり見られない少しの青っぽさ(クキっぽさ)はそれが理由のようです。

どのワインも濃縮した果実味を持ちますが、重くなく、華やかで綺麗な果実味です。アルノー・ロバーツのワインをブラインドで飲んで、これは間違いなくカリフォルニアですと答える人はまずいないのでは(これは間違いなくカリフォルニアですと答える人は真のカリフォルニアワインファンではない人かも・・・笑)。アルノー・ロバーツは多様性の時代のカリフォルニアワインをまさに代表するワインというのがよく分かります。

 アルノー・ロバーツ2

今日の試飲会の後半はネイサンさんと日本を代表するソムリエのトークバトル?が予定されていたのですが、残念ながらまたまた時間がなく、先にご挨拶して会場を後にしました。「はじめまして。私のシャツにサインが欲しいのですが。」「?」「これを見てください。」「オー!ジャイアンツ!(笑)」「ジャイアンツのファンですか?」「野球にはあまり興味はないんだ(苦笑)。」「そうですか。。。」「それより友達のサインがいっぱいあってビックリだよ。」「はい、ステーブさん(スティーブ・マサイアソン)、ジャスミンさん(ジャスミン・ハーシュ)、ラジャさん(ラジャ・パー)です。」「このジャージ、写真撮らせてくれよ。」「どうぞ(笑)。」アイホンでパチパチ写真を撮るネイサンさんでした。そしてサインはそういう感じの(笑)ワインを造っている人達のそばに。。。

 ネイサンさんと・・・ CIMG2276
 袖の上部に・・・
CA♡
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アルノー・ロバーツ」のご案内はまた後ほど。。。

 

 

 

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