Pinot Noir Celebration Japan 2018

Pinot Noir Celebration Japan 2018

前回開催は2015年7月。今回で7回目の開催となる、世界のピノ・ノワールの祭典「ピノ・ノワール・セレブレーション・ジャパン 2018」。今回のグランド・テイスティングには、10ヶ国から150種類以上のピノ・ノワールが集まりました(ホテル雅叙園東京)。

【Pinot Noir Celebration Japan 2015】(2015年7月10日)

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本日20日に開催されたワイン業界者向けのトレードセミナーには現在ピノ・ノワールのトップ生産者として君臨する4名がスピーカーとして参加しました。ジャック・ラルディエール(ルイ・ジャド)、ジム・クレンデネン(オー・ボン・クリマ)、ラリー・ストーン(リングア・フランカ)、サシ・ムーアマン(ドメーヌ・ド・ラ・コート)です。テーマは「ピノ・ノワール造り 開拓者は未来に何を見るか」です。先駆者として30年以上に亘りピノ・ノワールを造り続けてきたジャック・ラルディエールとジム・クレンデネン。世界のトップ・ソムリエから造り手に転身したラリー・ストーン。長い下積みを重ねて、次の時代を担う生産者として注目されているサシ・ムーアマン。先駆者、開拓者、挑戦者として、この4人がこの30年のピノ・ノワールの変遷をどう捉えているか。そして今後のピノ・ノワールに何を見出していくか。4つのワインをテイスティングしながら、ピノ・ノワールの過去、現在、未来を語りました。

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Domaine de la Cote Bloom’s Field Pinot Noir Sta. Rita Hills 2015
★ドメーヌ・ド・ラ・コート ブルームス・フィールド ピノ・ノワール サンタ・リタ・ヒルズ 2015
Au Bon Climat Knox Alexander Pinot Noir Santa Maria Valley 2014
★オー・ボン・クリマ ノックス・アレキサンダー ピノ・ノワール サンタ・マリア・ヴァレー 2014
Lingua Franca Estate Pinot Noir Eola-Amity Hills Willamette Valley 2016
★リングア・フランカ エステート ピノ・ノワール イオラ・アミティ ウィラメット・ヴァレー 2016
Resonance (Louis Jadot) Resonance Vineyard Pinot Noir Yamhill Carton Willamette Valley 2014
★レゾナンス(ルイ・ジャド) レゾナンス・ヴィンヤード ピノ・ノワール ヤムヒル・カールトン ウィラメット・ヴァレー 2014

ワインは、カリフォルニアから2つ、オレゴンから2つです。サシ・ムーアマンは日系2世で、本名は武蔵。元料理人ですが、醸造に興味を持ちカリフォルニアへ。「オハイ」のアダム・トルマックの元で醸造を学びました。全米トップ・レストラン「マイケル・ミーナ」のワインディレクターを務めるラジャ・パーとサシ・ムーアマンは2013年にサンタ・バーバラの最も太平洋に近い西端サンタ・リタ・ヒルズに「ドメーヌ・ド・ラ・コート」を設立しました。白亜の土壌。そして冷涼な気候から生まれるワインはまさにカリフォルニアのグランクリュワインです。トップ・キュヴェの1つであるブルームス・フィールドは100%全房発酵。甘味を抑えたフルーツ味と高い酸。ミネラル感。冷涼地ゆえのエレガントなスタイルです。サシ・ムーアマンは2014年からはオレゴンの「イヴニング・ランド」の醸造も手掛けています。アンリ・ジャイエを師と仰ぎ、サンタ・バーバラを”カリフォルニアのコート・ドール”と言わしめたジム・クレンデネン。カリフォルニアにおけるクラシックなブルゴーニュスタイルのワイン造りのパイオニアです。1982年「オー・ボン・クリマ」を設立。サンタ・マリア・ヴァレーを代表する畑がビエン・ナシド・ヴィンヤード。ビエン・ナシドはスペイン語で”GOOD BORN(良いものが生まれる)”。ここにオー・ボン・クリマのワイナリーと自社畑ル・ボン・クリマがあります。オー・ボン・クリマのトップ・キュヴェは、愛娘イザベルを名を冠したイザベル・ピノ・ノワールと、長男ノックスの名を冠したノックス・アレキサンダー・ピノ・ノワールです。ノックス・アレキサンダーはビエン・ナシドの特定ブロックと自社ル・ボン・クリマの葡萄から。濃縮した赤黒の果実味。心地良い酸。非常にトータル・バランスに優れたピノ・ノワールです。ワイン造り35年を迎えたジム・クレンデネン。新世界の造り手に、ブルゴーニュ以外でも優れたピノ・ノワールは造れると希望を与え、扉を開いた、歴史そのものと言える造り手です。1988年「フランスワイン世界ソムリエコンテスト」で初の米国人優勝者となったラリー・ストーン。全世界で300人に満たないマスターソムリエの称号も米国人として初めて獲得しました(しかも1回で合格)。1994年にはレストラン「ルビコン」のシェフソムリエに就任(オーナーはフランシス・フォード・コッポラ、ロバート・デニーロ、ロビン・ウィリアムス)。なんとアシスタントソムリエはラジャ・パーだったとか。2006年「ルビコン・エステート」の総支配人に就任(旧ニーバム・コッポラ、現イングルヌック)。ソムリエ時代からピノ・ノワールの優れた栽培適地と信じていたオレゴン州ウィラメット・ヴァレー(イオラ・アミティ・ヒルズ)に土地を購入。2015年に「リングア・フランカ」を設立しました。リングア・フランカはラテン語で”共通言語”の意味です。コンサルティングには、世界の白ワインのトップ5の1つと言われる「コント・ラフォン」の4代目当主ドミニク・ラフォンが参加しています。エステート・ピノ・ノワールは25%全房発酵。ベリーやカシスの赤黒系の果実味(やや黒に近い)。凝縮感のある、旨味のある味わいです。強い風味が出ないよう、抽出を穏やかにしているとのことです。(ちなみにコント・ラフォンが初めて海外で行ったプロジェクトが上述した「イブニング・ランド」です。)1859年から続くブルゴーニュの名門ネゴシアン「メゾン・ルイ・ジャド」。オーナーのガジェ親子3代に仕えたのが名匠ジャック・ラルディエールです。パスツール研究所でバクテリアの研究に没頭していたジャック・ラルディエールですが、その才能を高く評価され、1970年ルイ・ジャドに迎い入れられました。そしてすぐに醸造責任者に任命されました。「レゾナンス」は、ルイ・ジャドが初めてフランス以外の地でワインを造るプロジェクト。2013年オレゴン州ウィラメット・ヴァレー(ヤムヒル・カールトン)に8haの土地を購入しました。レゾナンス・ピノ・ノワールは濃縮した華やかな果実味ながらややしっかりしたタンニンを持つ味わい。やはりどこか伝統的なブルゴーニュの風味を彷彿させるピノ・ノワールです。カリフォルニアとオレゴンのテロワールの違いのお話もありましたが、オレゴンはまだまだ未開の地?で、テロワールを語るほど成熟はしていないのではというコメントもありました。

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アメリカ、というかカリフォルニアにおけるピノ・ノワールの本格的な生産は1980年代にスタート。2000年のピノ・ノワールの生産量は5万トンほど。2004年映画「サイドウェイ」の影響でピノ・ノワールの人気が高まりましたが、やはりナパのカベルネが(著名な評論家から)高い評価を受けていたため、ピノ・ノワールの伸びはいまいち(2010年には3倍の15万トンほどになりましたが)。しかしリーマン・ショック以後は(高評価の)高額なナパのカベルネの人気が落ち、むしろピノ・ノワールの人気が高まりました。またニューカリフォルニアワインと呼ばれる新しい流れが起こり、ビッグなワインからエレガントなワインへとスタイルを変える生産者も現れました。ワイン造りも時代の流れに沿い、伝統的な醸造からカルトな醸造へ、そしてまた伝統的な醸造へと戻りつつあります。ジムさんいわく。「過去30年のピノ・ノワール造りは劇的な変化があった。次の30年もおそらく劇的な変化があると思う。でもrosy(明るい、期待できる未来)だよ(笑)」。

(右から、ジャック・ラルディエール氏、ラリー・ストーン氏、ジム・クレンデネン氏、サシ・ムーアマン氏です。)

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セミナーがちょっと長くなりました。急いで試飲会場へ移動します。セミナーでスピーカーを務めたジムさん、ラリーさん、サシさんにはすでに以前サインを頂戴しておりますので、短めにご挨拶に(笑)。。。

ジムさんですが。セミナーが始まる前に会場の入口で待っていたらジムさんが気が付いてくれて声をかけてくださいました。「ハイ!元気?」「はい!元気です!今日はイザベルちゃんは?」「いるよ!ノックスもいるよ!後で紹介するよ!」ということで試飲会場でノックス君と初のご対面でした。ノックス君はギターが好きなんです。例のジャージにギターを描いてくれました。イザベルちゃんとはちょこちょことお会いしておりましたが、またまた笑顔でのご対面となりました(笑)。ラリーさんとはかなり久しぶりのご対面です。前回お会いしたのは2007年です。ラリーさんがルビコン・エステートのディレクターとして来日された時にサインを頂戴しました。「ラリーさん、これ覚えていますか?」と例のジャージを見せると「おお!覚えてるよ!」「2007年です!」「懐かしい!」ラリーさんのサインは、バリー・ボンズが通算ホームランの新記録を作ったと書いてあります。ラリーさんはシアトル出身ですが、もちろんジャイアンツのファンです。そしてサンフランシスコのレストラン「ルビコン」で初めてお会いした時の話で盛り上がりました(笑)。サシさんとは3度目のご対面です。「サシさん、3度目のご対面です。」「また会えて嬉しいよ(笑)。」次の時代を担う注目のワインメーカーのサシさん。ワイン造りは非常に情熱的ですが、笑顔がとても素敵な方です(笑)。

 ジムさんと・・・ PNCJ2018-3
イザベルちゃん PNCJ2018-5
ノックスくん PNCJ2018-4
ラリーさんと・・・ PNCJ2018-1
サシさんと・・・ PNCJ2018-2
右にジムさん、イザベルちゃん、
そしてノックスのサイン(ギター)
左にサシさんのサイン
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左の袖に
ラリーさんのサイン
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楽しいご対面に時間を取られて、ブース全部はとても廻りきれませんでした(苦笑)。。。

【サシ・ムーアマン氏来日!(ドメーヌ・ド・ラ・コート)】(2017年4月18日)

 

 

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